2020年7月29日水曜日

よくある疑問??:橋本病(慢性甲状腺炎)その②

こんにちは(^^)
皆様、長ーい梅雨が続いております。
もう8月になるというのに、長すぎないか??と思ったのですが、気象庁のデータを見ましたら2000年以降だけでも3回ほど7月28日より遅い梅雨明けの年があったようです。
関東は8月に入ってからの梅雨明けになりそうとの予報が出ていますね。

かなり暑くなるようですが、私は梅雨は早く開けてほしいですし
暑くても夏は好きです(^^♪

さて、2月に橋本病(慢性甲状腺炎)について 外来での「あるある」をご紹介しました。
その①と連載を匂わせていたのですが、お待たせしましたその②をお届けします。

橋本病(慢性甲状腺炎)は、その病態を理解するのが難しいですよね。橋本病(慢性甲状腺炎)の診断で通院している方は、すぐに理解するのが難しくても時々担当の先生に質問したりしながら付き合っていきましょう。
全体像については ホームページを確認してください!
https://www.mipc.jp/hashimoto/


橋本病(慢性甲状腺炎)について 
外来での「あるある」その②

(私の?)外来での橋本病(慢性甲状腺炎)の方とのよくある会話
患者さん:「先生、今回はすごく腫れちゃって辛かったんですよ」
医師  :「あら、そうでしたか。今日はどうですか?」
患者さん:「今日はね、大丈夫です。ちょうど1か月くらい前に父が入院して色々お手伝いしたりしてたら、腫れちゃってね。でも、1週間くらいだったかな、それくらいで良くなりました」

結構、よくこういう会話をしています。
どういうことなのでしょうか??

橋本病(慢性甲状腺炎)の原因・病態について日本内分泌学会HPでは以下の様に説明されています。
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=41

橋本病(慢性甲状腺炎)は自己免疫疾患の一つです。自己免疫疾患とは、細菌やウィルスなどから体を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にしてしまうことで起きる病気の総称です。橋本病では、免疫の異常によって甲状腺に慢性的に炎症が生じていることから、慢性甲状腺炎とも呼ばれます。この慢性炎症によって甲状腺組織が少しずつ壊され、甲状腺ホルモンが作られにくくなると、甲状腺機能低下症が生じます。バセドウ病と同様に、なぜ免疫の異常が生じるかはわかっていません。
免疫が甲状腺を標的にしてしまうため、甲状腺組織に免疫反応(炎症)が起こります。その反応(炎症)により甲状腺組織がたくさん壊されてしまうと甲状腺ホルモンを作れなくなってしまうということです。

患者さんがよく私にお話ししてくれる「腫れ」というのはこの免疫反応(炎症)により甲状腺が腫れることについての症状ということです。
橋本病(慢性甲状腺炎)の甲状腺の「腫れ」についてはいくつか特徴があります。

①よく健康診断などで「腫大」と指摘されますが、必ずしもとても大きくなっているわけではなく、橋本病(慢性甲状腺炎)では硬くなってくる変化が特徴です。
②腫れ具合と甲状腺組織の壊れ具合は、一致しない様です。「腫れ」がひどくても甲状腺機能低下症にはなっておらず、経過観察のみで見ている方もいます。
③例に挙げたように、「今日は腫れてる」「今日は楽」と日によって腫れ具合の違いをかじる方がいらっしゃいます。

③については、外来診療での経験談ということです。日によって「腫れる」と言っても、多くの場合は実際にとても大きくなったとか、その後戻ったという様子は客観的には見受けられません。触診や超音波検査ではいつもと変わりない様子です。ですが、ご本人としては「腫れ」がひどくてつらい日というのがあるようです。
私の経験上では、疲れている時、ストレスがある時、心配事がる時などに「腫れ」が辛かったとおっしゃっている方が多い印象ですよ。

対処法ですが。
ごめんなさい、ありません(^^;
実は橋本病(慢性甲状腺炎)の病態自体を改善する治療というのはありません。自然経過を見ていき、甲状腺ホルモンが足りなくなれば補充(甲状腺ホルモンの薬を内服する)するという対応になります。
「腫れ」の症状とは、まさに橋本病(慢性甲状腺炎)の病態そのものからくる症状ですので、腫れを改善する対応というのは無いのです。

橋本病(慢性甲状腺炎)ではその病態によって甲状腺が腫れてしまうこと、それに対しての対処は残念ながらないという事をご理解いただくことが必要です。併せて、腫れが強いと感じるときも、本当にとても大きくなっているわけではなく、それによって何かが起こることはない、心配ないという事も知っておいてください。
また、橋本病(慢性甲状腺炎)の方で同じように日によって腫れが強いと感じている方がいらっしゃいますので、不思議な事ではないでしょう。

1つ注意点があります。日によって腫れが強いと感じても実際に大きくなっているわけではなく、心配もない、というのは甲状腺機能(ホルモンの状態)が安定している時という条件になります。たとえば、甲状腺ホルモンの内服をしている方がさぼってしまって内服をしなかったり、甲状腺組織の破壊が進み甲状腺機能が低下してしまった場合は、この限りではありません。甲状腺ホルモンが不足すると脳の下垂体というところから甲状腺に「甲状腺刺激ホルモン」がいつもより多く分泌され「もっとホルモンを出して!」というサインとなります。この刺激が実際に甲状腺をいつもより腫大させてしまうことになります。

内服をしている方は、きちんと内服を続けましょう。また、明らかに腫れがひどくなっているという場合には甲状腺機能(甲状腺ホルモンの状態)が変化した可能性があるので受診をしてください。
病状が安定していて、腫れが気になったり良くなったりという場合は、様子を見ながら過ごしてみて下さい。

つづきはまたいつか。。。。



※8月28日(金)午前の鈴木医師の外来は休診となります。
(8月はクリニックの休診日はございません。)




南池袋パークサイドクリニック
ホームページ:http://www.mipc.jp/

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